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腸腰筋とトリガーポイント

腸腰筋のトリガーポイントは、腰痛の原因として極めて重要です。
本記事では、腸腰筋のトリガーポイントについて、詳しく解説します。
腸腰筋のトリガーポイントについて興味のある方は是非ご覧ください。

腸腰筋の基礎知識

腸腰筋は、大腰筋、小腰筋、腸骨筋から構成され、腹部の深部において腰椎と大腿骨を結びます。腸腰筋は、腰痛の原因筋として極めて重要です。また、腸腰筋はハムストリングスの拮抗筋であるため、アスリートにとっても重要な筋肉です。なお、小腰筋は半数近く(4割程度)の人で欠如しており、特異的な機能が小腰筋に付与されているわけではありません。

腸腰筋の基礎知識

神経支配

腸腰筋は脊髄神経前肢(L1~L3)の神経支配を受けます。

  • 【大腰筋の神経支配】腰神経(L1~L2)
  • 【小腰筋の神経支配】腰神経(L1)
  • 【腸骨筋の神経支配】大腿神経(L2~L3)

解剖

大腰筋、小腰筋、腸骨筋のそれぞれで起始部と停止部が異なります。

大腰筋

  • 【起始部】第1~5腰椎の椎体および横突起、第12胸椎~第5腰椎の椎体および椎間板
  • 【停止部】大腿骨の小転子

大腰筋の起始部は椎骨の前面に付着し、停止部は腸骨筋と合流して大腿骨頭の下側(小転子)まで走ります。

小腰筋

  • 【起始部】第12胸椎~第1腰椎の椎体および椎間板
  • 【停止部】腸骨筋膜

小腰筋の起始部は、椎骨の前面に付着し、停止部は腸骨筋膜の中へ入り込みます。

腸骨筋

  • 【起始部】腸骨窩(上前腸骨棘から腸骨稜を超えて仙腸関節まで)
  • 【停止部】大腿骨の小転子

腸骨筋の起始部は骨盤の扇型の内面全体に付着し、停止部は腰筋と合流して大腿骨頭の下側(小転子)まで走ります。

働き

腸腰筋は、アスリートにとって重要な筋肉(ハムストリングの拮抗筋)として知られていますが、実は、普通の人でも常に働き続けている極めて重要な筋肉です。腸腰筋は、重力から身を守る唯一の筋肉であるため、常に上半身の安定化に寄与し、体幹の直立においては、座位・立位ともに重要な役割を担います。

また、腸腰筋は、股関節から身体を屈曲させるときに働くので、歩行・走行、階段を上る時、ボールを蹴る時などでも常に働きます。

寝起きの際は、腸腰筋を使って起き上がることになります。したがって、腸腰筋を傷めると、朝起き上がることが苦痛になります。

腸腰筋のトリガーポイント

腸腰筋のトリガーポイントは、多くの腰痛患者に認められますが、腰背部の痛みに対して、前面からアプローチする腸腰筋を腰痛の原因として疑えないケースがあります。脊柱に並行して腰痛が走る場合は、腸腰筋のトリガーポイントを疑っても損はありません。

トリガーポイントの位置と関連痛領域

腸腰筋のトリガーポイントの位置と関連痛領域を下図に示します。訴えのある関連痛領域から、原因となるトリガーポイントを探索することで、的確な治療につながることが考えられます。

腸腰筋のトリガーポイント
  • ①のトリガーポイントは、大転子の高さ付近で、大腰筋の停止部近くにあります。
  • ②のトリガーポイントは、上前腸骨棘の高さ付近で、腸骨筋にあります。
  • ③のトリガーポイントは、L4~L5の高さ付近で、大腰筋の起始部近くにあります。
  • 関連痛領域は、背側は脊柱に沿って現れ、仙腸関節や臀部上部にまで放散します。腹側は、鼠径部を中心に大腿前部に広がります。

トリガーポイントの原因

腸腰筋は、 急性・慢性の両方のストレスを受けやすい筋肉ですが、普通の人は日常生活に起因する慢性的なストレスにより傷めることが多いとされています。 一方、アスリートや急に運動を始めた人は、急性的なストレスにより腸腰筋を傷めることがあります。

急性的な原因

  • 脚を使って物を動かすこと
    脚を使って物を動かすと腸腰筋を傷め、トリガーポイントの原因となります。これは個人差が出ます。脚を使って物を動かすというのは、部屋が整理整頓されていないケースが多く、逆に、整理整頓が行き届き、部屋がきれいな人は、脚を使って物を動かすという機会に遭遇しません。したがって、腸腰筋を守るために、部屋の整理整頓片づけをすることも重要なことです。
  • 蹴る動作
    サッカーやキックボクササイズのような蹴り動作は、慣れない人が急に行うと腸腰筋を傷め、トリガーポイントの原因となります。
  • 腰椎の手術
    これは避けようがなく仕方がありません 。

慢性的な原因

  • 長時間の座位
    腸腰筋は、股関節から身体を屈曲させるときに働きます。したがって、座位が長く続くと、腸腰筋にトリガーポイントができやすくなります。現代社会は座位が中心です。座位により股関節は動かされる機を失い、腸腰筋は損傷します。また、スポーツカーのような、膝の位置が腰よりも上にくる自動車の運転は、右側の腸腰筋を傷める原因になります。腸腰筋はかなり収縮した状態で、絶妙なアクセル操作やブレーキ操作が要求されるからです。
  • 睡眠時、身体を丸める癖
    抱き枕のようなものを使って眠る人は、腸腰筋が収縮した状態で眠ることになるので、腸腰筋のトリガーポイントの原因となることがあります。
  • お尻のポケットに物を入れる癖
    日本人は右利きが多いため、右のお尻ポケットに物を入れます。したがって、この問題は右の腸腰筋でよく起こります。治療とともに日常的にお尻ポケットに物を入れる習慣を直せば良いので、この問題は取り除くことが比較的簡単です。

トリガーポイントによる症状

腸腰筋にトリガーポイントがあると、股関節で体を伸ばそうとしたときに、脊柱に並行して縦に腰背部や大腿部に痛みが走ります。左右両方の腸腰筋に問題がある場合は、横に痛みが走るように感じることがあります。いずれにせよ、股関節で屈曲した身体を伸ばそうとしたときに痛みが走ると、腸腰筋を疑います。

腸腰筋のトリガーポイントと関連する内臓

  • 腎臓
  • 膀胱
  • 結腸
  • 子宮、前立腺

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