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加茂淳先生(当院における疼痛治療ートリガーポイント注射を中心に)

本ページは、疼痛治療現場でご活躍中の実臨床医からの
最新レポート(疼痛治療レポート)の抜粋です。
本項は、長年のMPS治療により、トリガーポイント注射療法に造詣の深い 加茂 淳 先生
(加茂整形外科医院 院長 石川県)のお話を掲載しています。

筋・筋膜性疼痛症候群の発症頻度が高い疾患

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、梨状筋症候群、顎関節症、頚椎症、椎間板症、神経根症、すべり症、分離症、肩関節周囲炎、肩腱板損傷、頚肩腕症候群、胸郭出口症候群、テニス肘、手根管症候群、肋間神経痛、変形性関節症、半月板損傷、アキレス腱周囲炎、腱鞘炎、足底腹膜炎、シンスプリントなど。

トリガーポイント注射を選択する理由

トリガーポイントを消失させるための治療法として、トリガーポイント注射療法、トリガーポイント鍼治療および徒手療法(マッサージやストレッチング)などが施行されていますが、トリガーポイント鍼治療や徒手療法に要する治療時間を考えたとき、臨床実地医家にとって現実的な選択肢はトリガーポイント注射です。

トリガーポイント注射に使用する薬液・注射針

保険診療を行う場合、トリガーポイント注射の薬液としては、局所麻酔薬または局所麻酔薬を主剤とする薬剤を使用しなければなりません。したがって、薬液には、ネオビタカイン®、または0.5%カルボカイン®注を使用します(エピネフリン、ステロイドは添加しません)。1 ヵ所につき、0.2 ~ 2mL を使用し、数ヵ所から数十ヵ所になることもあります。注射針は、基本的には30 ゲージ(G)13mm注射針を使用しますが、腰背部、臀部などには27G の長さ19mm、もしくは38mm 注射針を使用します。注射針は細いので、注射の痛みを訴える患者はほとんどいません。触診を行いながら浅層筋・深層筋など、痛みを感じている筋肉の位置を想定して施行します。

トリガーポイント注射手技の実際(頚肩部)

僧帽筋

主に肩の動きをつかさどっている最大の筋です。上部・中部・下部の3 つに分けられます。
関連痛は、上部僧帽筋のトリガーポイント(解剖図①・②)では、特に頚部の後外側の面に沿って耳の後ろおよび側頭部に、下部僧帽筋のトリガーポイント(解剖図④)では、主として頚部、肩甲上部および肩甲間部に、主要な中部僧帽筋のトリガーポイント(解剖図③)では、脊柱および肩甲間部に放散します。僧帽筋は、受話器を頚と肩の間で保持したり、重いバッグを肩に掛けたりすると、過度の収縮状態になって損傷し、トリガーポイントの形成につながります。

(手技の解説)

【トリガーポイントの探索方法】
圧痛点(数ヵ所あることも)を指で探ります。

【注入量/注射針/深度】
1ヵ所につき、0.5~1mLを30G注射針で注入します。
深さは1cm程度です。

【患者の体位】
基本、伏臥位ですが、注射歴の長い方(注射に慣れた方)は座位で行います。

【その他注意点】
施行時は気胸に気をつけて行います。注射後、部位をよく揉みながら薬液を浸潤させます。そして、痛みが改善したことを確かめます。

胸鎖乳突筋

付着部の違う2つの筋により構成されています。胸鎖乳突筋は、その起始部である胸骨頭または鎖骨頭あるいはその両方に、しばしば多数のトリガーポイントを含んでいることがあります。これら2 つの部分(起始部)からの関連痛は、非常に異なったパターンを示します。胸骨頭のトリガーポイント(解剖図①)は、痛みを頭頂、後頭、頬を横切って目の上、咽頭、そして胸骨に放散します。鎖骨頭のトリガーポイント(解剖図②)は、痛みを前頭部および耳に放散します。
胸鎖乳突筋は、天井を見上げるような長時間の同姿勢、追突事故やスポーツなど、頭部の後方への伸展により損傷し、トリガーポイントの形成につながります。

(手技の解説)

【トリガーポイントの探索方法】
圧痛点(数ヵ所あることも)を指で探ります。

【注入量/注射針/深度】
1ヵ所につき、0.5~1mL を30G 注射針で注入します。
深さは1cm程度です。

【患者の体位】
仰臥位で行います。

【その他注意点】
施行時は気胸に気をつけて行います。注射後、部位をよく揉みながら薬液を浸潤させます。そして、痛みが改善したことを確かめます。

腸腰筋

T12~ L5の椎骨の前外側(大腰筋)と腸骨(腸骨筋)の内面から起こり、大腿骨の小転子に停止します。腸腰筋にトリガーポイントがあると、立っているときに最も辛くなり、横になると緩和されます。腸腰筋のトリガーポイント(解剖図)からの関連痛は、腰椎に沿った縦パターンの疼痛を引き起こす傾向があります。腸腰筋は、歩行、座位、起立の全ての動作で休むことなく働いており、多様な作業やスポーツにより損傷することが多く、トリガーポイントを形成します。
また、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱側弯症のような疾患においても、トリガーポイントを形成することがあります。

(手技の解説)

【トリガーポイントの探索方法】
圧痛点を指で探り、左手で腹腔を避けて、垂直に刺入します。

【注入量/注射針/深度】
1ヵ所につき、1~2mLを27G注射針で注入します。
深さは2cm 程度です。

【患者の体位】
仰臥位、もしくは腹腔を下にした側臥位で行います。

【その他注意点】
一時的に大腿神経麻痺になることがありますので、患者には注射後暫く(10分ぐらい)安静にして頂きます。

多裂筋

多裂筋群は横突起群の一部であり、C4~S4における脊椎と横突起の間溝、半棘筋と脊柱起立筋の深部に存在します。浅層の主動筋による働きから椎間関節を保護し、脊椎を伸展・側屈・回旋させます。多裂筋のトリガーポイント(解剖図①~⑤)からの関連痛は、そのトリガーポイントの発生した高さに位置する部分の棘突起における正中線上に集中して現れますが、筋のトリガーポイントが腰部にあるときは、おそらくその位置より少し下部に生じます。
多裂筋は、あらゆるスポーツ、同じ姿勢で身体を維持することにより損傷することが多く、トリガーポイントを形成します。

(手技の解説)

【トリガーポイントの探索方法】
棘突起の近傍の圧痛点を指で探ります。

【注入量/注射針/深度】
1ヵ所につき、1mLを30G注射針で注入します。
深さは1cm 程度です。

【患者の体位】
伏臥位で行います。

【その他注意点】
②の部位に注射する場合は、気胸に気をつけて行います。

トリガーポイント注射の注意点

・使用薬剤に対する過敏症に加え、アレルギー歴を確認します。

・施行後、暫く(10分ぐらい)は患者の様子を観察します。待合室など院内で待機頂いても良いです。

Expert Message

加茂淳先生からトリガーポイント注射をされる先生方へのメッセージです。

トリガーポイント注射は有用な疼痛治療法です。

-Q1 トリガーポイント注射療法の特徴を教えてください。

A1 トリガーポイント注射療法は、対症療法ではなく、痛みの悪循環を断つことで、痛みの原因であるトリガーポイントを消失させる有用な治療法と考えています。また、トリガーポイント注射は、施行後直ぐに治療効果がわかりますので、たとえ症状の改善が診られなかった場合でも、再び施行することができます。患者と効果を確かめながら行える治療法ですので、患者も多少は安心して受療できるのではないでしょうか。

-Q2 トリガーポイント注射手技のポイントを教えてください。

A2 基本的には30Gの長さ13mm注射針を使用しますが、腰背部、臀部などには27Gの長さ19mm、もしくは38mm 注射針を使用します。また、肩背部には気胸に注意しながら、ゆっくり穿刺しています。

-Q3 トリガーポイント注射施行時、気胸以外に留意されていることはありますか。

A3 膝窩部や股関節部は近くに神経が集中していますので、トリガーポイント注射により一時的に運動神経が麻痺することがあります。同じく、頚部のトリガーポイント注射でも、一時的にふらつくことがあります。いずれも一過性のものですが、施行後暫く(10 分ぐらい)は、患者に安静にして頂いて、様子を観察するようにしています。また、リウマチは内因性の発痛物質が原因の炎症性疾患ですが、MPS を併発している症例もあるので、気をつけて診るようにしています。

-Q4 具体的にはどのような症例に施行されていますか。

A4 急性痛には単回もしくは数回の注射で改善する症例が多いです。慢性痛には中枢性感作※が起きている可能性があるので、認知行動療法(散歩や体を動かすことを推奨する生活指導など)や他の薬剤(プレガバリン、デュロキセチン、トラマドール、ブプレノルフィン)と併用して行っています。MPSは、中高年患者に多い椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、膝軟骨障害、半月板損傷、肩腱板損傷などの6~7割に診られます。MPSによる痛みを取り除くことは、とても重要です。そして、痛みが取れた患者には、「自信を持って身体をよく動かすことが大切です」とお話ししています。

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