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渡邉恵介先生(当院における疼痛治療-トリガーポイント注射の事例)

本ページは、疼痛治療現場でご活躍中の実臨床医からの
最新レポート(疼痛治療レポート)の抜粋です。
本項は、奈良県立医科大学附属病院ペインセンター病院教授の
渡邉恵介先生のお話を掲載しています。

トリガーポイント注射の事例

トリガーポイント注射の事例

  • 緊急蘇生用具一式を準備します。
  • インフォームド・コンセント(刺針部痛、出血、感染、アレルギーの有無)を取得します。
  • 感染・炎症部位には施行しません。
  • 出血傾向、抗凝固薬内服症例には施行しません。単剤の抗血小板薬内服症例は慎重に施行を検討します。

薬液と針

  • ネオビタカイン®注シリンジ5mL(写真1)単独使用。
  • ネオビタカイン®注を2.5mLシリンジに分配したもの。(写真1:ラベルのないシリンジ)
  • 針:27G 19mmを使用します。刺針部痛の予防に、なるべく細い針(25G, 27G)を使用しましょう。
    ※必ず短針を使用しましょう。(30mm程度まで)

消毒

  • 消毒は、基本的にエタノールを使用します。
    ※揮発によるエタノールの蒸発により消毒作用が減弱することに注意すること。

トリガーポイント注射の手順

  • 清潔手袋を着用し、アルコール消毒を行います。
  • 押し手で索状物(トリガーポイント)を探して(図1)、圧痛の有無を尋ねます。
  • 押し手(図2)で圧をかけながら刺針します。
  • 抜針時も押し手します。(押し手は母指でも示指でも可)
  • 速く刺してゆっくり抜きます(図3:速刺緩抜)。
  • 一部位0.5~2.5ml 合計5mlまで。
  • 圧迫止血ができるよう押し手にガーゼを持ちます。

施行時・施行後の注意点

  • 針先が骨表面に接触すると曲がって刺針痛を引き起こすので、その際には針を変えます。
  • 出血・皮下血腫は圧迫止血で対応します。
  • 注射後は10分間の安静に保ちます。当日の入浴は許可しています。

トリガーポイント注射の実際(動画)

上部僧帽筋

急性・慢性の筋肉酷使(頭を前方で維持するなどの日常的に悪い姿勢、特に、コンピューターの操作)や、圧迫(重いカバンを肩にかける)、慢性的なストレス(襟のきついシャツの着用)、緊張(肩甲帯を高く持ち上げたままの姿勢)によって引き起こされます。僧帽筋上部は、身体中最もよくトリガーポイントが認められ、関連症状が身体の反対側に広がることがあります。

頭半棘筋

急性・慢性の筋肉酷使(例:頭部を長時間前にのばした姿勢、体幹の前面に不均衡に重心をかけたまま頭部と頸部を長時間屈曲した姿勢)、長時間筋肉の短縮を及ぼす姿勢(例:テレビを見るときやベッドに寝転がって宿題をするときに肘をつけて頭を支える姿勢など)、頸椎神経の神経根障害、頚椎の骨関節症、タイや首のしまったシャツの着用による刺激、頸部を冷気にさらす、僧帽筋上部または頭板状筋のトリガーポイントへの二次症状、などによって引き起こされます。

大殿筋

急性・慢性の筋肉酷使(前に身体を傾けて上り歩行やクロールで泳ぐ場合などの強い遠心性収縮)、長時間伸張させたままの姿勢(例:股関節を屈曲したまま眠る)、長時間の座位(特に、後ろポケットに厚い財布を入れて座る場合)によって引き起こされます。仙腸関節機能不全と関連することが多いです。

中殿筋

急性・慢性の筋肉酷使(過度のウォーキングやランニング、砂地を歩く、長時間片脚で立つ)、長時間の不動姿勢、仙腸関節機能不全、後ろポケットに厚い財布を入れて座ることによって引き起こされます。

Expert Message ~これからトリガーポイント注射を始める方へ~

渡邉恵介先生からトリガーポイント注射をされる先生方へのメッセージです。

初期治療にトリガーポイント注射

トリガーポイント注射の特徴は、簡便、安価、低侵襲であるため、初期治療に適しています。初めての患者に対して、疼痛閾値を確認でき、侵襲的治療への導入となり、効果的な場合、医師・患者関係の獲得にもつながります。また、治療反応性を確認することで、今後の治療方針を検討することができます。

【トリガーポイント注射の反応例】

  • 「2日ほど楽でした。」 → さらなるブロック治療を考慮
  • 「針の刺入がかなり痛かった。」 → 疼痛閾値が低いため、高侵襲の治療の際には鎮静を検討
  • 「ひと時も全く効きません。痛みを取ってほしい。」 → 心理社会的要因が強い可能
  • 夜間に「痛いので注射してくれ。」 → 治療契約※の見直しが必要
    ※治療の開始に当たって、治療者と患者の間で、治療目標や方法、治療の期間、面接のルールなどについてなされる取り決めや約束の事。

高齢者・ハイリスク症例にトリガーポイント注射

トリガーポイント注射は刺入深度が浅く重篤な合併症が起こりにくいため、基礎疾患が重篤な患者や超高齢者にも比較的安全に施行可能です。副作用のため内服が選択できない場合など、他に選択肢がない場合もあります。ただ、他の神経ブロック同様に出血のリスク等への細心の注意が必要です。リスクとベネフィットを勘案し漫然と施行しないことが重要です。

患者教育にトリガーポイント注射

例えば、スマホの使いすぎによるストレートネック(写真2)に対して、トリガーポイント注射時に筋肉が硬いことを指摘し、「あなたの頭痛・頸部痛は僧帽筋の硬直と血流障害が原因である」と説明し、理論を導入します。そして、トリガーポイント注射による効果が一時的であっても感じることができると、硬直した筋肉が原因であると理解され、生活様式の変容、運動療法導入の動機付けとなります。

へき地医療にトリガーポイント注射

リソースが限られた医療機関においては、エコーや透視装置がない場合でも、触診によってトリガーポイントを触知できれば、ブラインドでトリガーポイント注射が施行できるため、簡便に疼痛コントロールすることができます。

注意すべき合併症

ほとんど重篤な合併症のない手技ですが、側頸部穿刺での脊髄穿刺、胸背部での気胸に注意しましょう。四肢に注射する際には、大腿神経・坐骨神経・頸神経などの走行に注意しましょう。運動神経麻痺が遷延し長時間の安静を要する可能性があります。頸部前面・鼠径・膝窩・四肢遠位部の盲目的な注射は控えましょう。目的の深度に合わせて、できるだけ短い針を使用しましょう。

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