日本国内の医療機関にお勤めの医師・薬剤師などの医療関係者を対象に、医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。
一般の方および国外の医療関係者に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
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本ページは、疼痛治療現場でご活躍中の実臨床医からの
最新レポート(疼痛治療レポート)の抜粋です。
本項は、奈良県立医科大学附属病院ペインセンター病院教授の
渡邉恵介先生のお話を掲載しています。
急性・慢性の筋肉酷使(頭を前方で維持するなどの日常的に悪い姿勢、特に、コンピューターの操作)や、圧迫(重いカバンを肩にかける)、慢性的なストレス(襟のきついシャツの着用)、緊張(肩甲帯を高く持ち上げたままの姿勢)によって引き起こされます。僧帽筋上部は、身体中最もよくトリガーポイントが認められ、関連症状が身体の反対側に広がることがあります。
急性・慢性の筋肉酷使(例:頭部を長時間前にのばした姿勢、体幹の前面に不均衡に重心をかけたまま頭部と頸部を長時間屈曲した姿勢)、長時間筋肉の短縮を及ぼす姿勢(例:テレビを見るときやベッドに寝転がって宿題をするときに肘をつけて頭を支える姿勢など)、頸椎神経の神経根障害、頚椎の骨関節症、タイや首のしまったシャツの着用による刺激、頸部を冷気にさらす、僧帽筋上部または頭板状筋のトリガーポイントへの二次症状、などによって引き起こされます。
急性・慢性の筋肉酷使(前に身体を傾けて上り歩行やクロールで泳ぐ場合などの強い遠心性収縮)、長時間伸張させたままの姿勢(例:股関節を屈曲したまま眠る)、長時間の座位(特に、後ろポケットに厚い財布を入れて座る場合)によって引き起こされます。仙腸関節機能不全と関連することが多いです。
急性・慢性の筋肉酷使(過度のウォーキングやランニング、砂地を歩く、長時間片脚で立つ)、長時間の不動姿勢、仙腸関節機能不全、後ろポケットに厚い財布を入れて座ることによって引き起こされます。
渡邉恵介先生からトリガーポイント注射をされる先生方へのメッセージです。
トリガーポイント注射の特徴は、簡便、安価、低侵襲であるため、初期治療に適しています。初めての患者に対して、疼痛閾値を確認でき、侵襲的治療への導入となり、効果的な場合、医師・患者関係の獲得にもつながります。また、治療反応性を確認することで、今後の治療方針を検討することができます。
【トリガーポイント注射の反応例】
トリガーポイント注射は刺入深度が浅く重篤な合併症が起こりにくいため、基礎疾患が重篤な患者や超高齢者にも比較的安全に施行可能です。副作用のため内服が選択できない場合など、他に選択肢がない場合もあります。ただ、他の神経ブロック同様に出血のリスク等への細心の注意が必要です。リスクとベネフィットを勘案し漫然と施行しないことが重要です。
例えば、スマホの使いすぎによるストレートネック(写真2)に対して、トリガーポイント注射時に筋肉が硬いことを指摘し、「あなたの頭痛・頸部痛は僧帽筋の硬直と血流障害が原因である」と説明し、理論を導入します。そして、トリガーポイント注射による効果が一時的であっても感じることができると、硬直した筋肉が原因であると理解され、生活様式の変容、運動療法導入の動機付けとなります。
リソースが限られた医療機関においては、エコーや透視装置がない場合でも、触診によってトリガーポイントを触知できれば、ブラインドでトリガーポイント注射が施行できるため、簡便に疼痛コントロールすることができます。
ほとんど重篤な合併症のない手技ですが、側頸部穿刺での脊髄穿刺、胸背部での気胸に注意しましょう。四肢に注射する際には、大腿神経・坐骨神経・頸神経などの走行に注意しましょう。運動神経麻痺が遷延し長時間の安静を要する可能性があります。頸部前面・鼠径・膝窩・四肢遠位部の盲目的な注射は控えましょう。目的の深度に合わせて、できるだけ短い針を使用しましょう。
トリガーポイントについての基礎的な理解から一般的な治療方法まで幅広い情報を掲載しています。初めて学習される方からご専門の先生まで、是非ご一読いただけますと幸いです。
すぎはら整形外科 杉原 泰洋 先生の手技動画集です。
トリガーポイント注射の対象となる筋肉は非常に多く存在します。治療頻度が特に高い部位、筋肉について解説しています。
トリガーポイント注射に使われる薬液について解説し、トリガーポイント注射の作用機序を説明します。
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