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本ページは、疼痛治療現場でご活躍中の実臨床医からの
最新レポート(疼痛治療レポート)の抜粋です。
本項は、日本整形外科学会専門医であり、運動器リハビリテーション認定医でもある
社会医療法人 玄真堂 川嶌整形外科病院(大分県) 理事長 川嶌 眞人 先生のお話を掲載しています。
疼痛患者の東洋医学的診断に際しては、全体的な「虚実」を視診、問診、切診(舌診、脈診、腹診など)から大まかにつかみ、さらに「気血水」の異常を検討していきます。東洋医学では痛みやしびれを「生命エネルギーである「気」と、その媒体である血清因子などの「血」の巡行が不全になった状態である」とされます。多くの痛み疾患の場合、外邪(外傷、手術、変性性疾患、炎症による熱など)に侵されて生じますが、外邪を叩く一方で、気血水のバランスを正すと同時に、経絡や解剖に沿って気血の流れを改善することが重要になります。この目的で当該経絡上の経穴に取穴することによって疼痛治療が行われます。
生体の抵抗力(=抗病力)の強弱を虚実という。ヒトが病気になった時(すなわち生体が病邪に侵されゆがみを受けた時)、これを跳ね返そうとする力「抗病力」は同じ病気であっても異なる。この抗病力が強く充実している状態を「実」、弱く衰えている状態を「虚」という。
恒常性機能を維持する三要素と言われ、「気」は自律神経機能低下などの神経系との関連がある。「血」は血清因子など免疫応答と関連する。「水」はホルモン調整などの内分泌系に関わる(図1)。
身体の流れる「気・血・水」の12本のルート。
穴(ツボ)を取る(皮膚に触れて場所を確認する)行為の事。
トリガーポイント注射とは、軽度の刺激でも筋の緊張が生じるトリガーポイントに針を刺入し、薬液を注入することで、痛みを軽減させる手技です。トリガーポイントとは、圧迫や針の刺入、加熱、冷却などによって関連域に関連痛を引き起こす部位であり、単なる圧痛点とは異なります(図2)。Melzack Rらは、トリガーポイントが東洋医学の経穴の位置とよく一致し、両者は誤差3cmの範囲内で71%一致すると報告しています。東洋医学の経穴を学ぶことで、トリガーポイントの探索が的確になります。
筋肉に痛みの原因となるトリガーポイントの病態が存在するとき、治療の対象となり、腰痛症(腰椎椎間板症、脊柱管狭窄症、仙腸関節障害)や肩こり(頸椎椎間板症、頚肩腕症候群)など、脊椎系疾患が圧倒的に多いです。また、筋・筋膜性腰痛症、下肢筋肉痛など、ハードワークやスポーツ後に発症した筋肉痛はトリガーポイントがはっきりしていることがよくあります。腰痛症と肩こりの治療において重要な経穴と経絡を紹介します。
キムチ、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品には、乳酸菌が豊富に含まれている。
ナチュラルキラー細胞は、オリゴ糖によって増えるので、ヤーコン、菊芋、アボカド、ゴボウ、バナナなど、オリゴ糖を多く含む食材をとる。
川嶌眞人先生からトリガーポイント注射をされる先生方へのメッセージです。
Melzack Rらは、Travellなど多くの研究者によってつくられたトリガーポイントの作図と東洋医学の経穴の作図 を比較して、両者は誤差3cmの範囲内で71%一致すると1977年ペイン誌に報告しています。これに対して、2003年 にBirchは異を唱え、再調査したところ、一致率は19%だったと主張しています。その後、2008年にDorsherは、古 典的経穴とトリガーポイントの一致率は95%と論じています。様々な議論がなされていますが、私は多くの論文に 採用されているMelzack Rらの報告を支持し、東洋医学で学んだ経穴を触診することでトリガーポイントを的確に 探索することを可能にしています。
治療効果をよりよく発揮するためには、患者自身が主体者として治療に参画することが重要です。そのための大前提として、医師と患者との信頼関係が構築されていることであり、同じ治療目標を持つためのコミュニケーションを図る必要があります。医師による的確な診断の上、患者自身も本治療によって目指すゴール(痛みがゼロにはならないが、今までできなかった買い物ができるようになる等)を共有する必要があります。
トリガーポイント注射は問診により痛みが強く出たときの状況を詳細に聞き、患者自身に痛い部位を指し示してもらい、その周辺を触診します。押す方向も重要で、触診によって痛みを訴える部位を探り、患者とともに投与部位を決定します。このような共同作業が重要であり、触診と声かけ、その後の治療効果の実感により強固な信頼関係が築くことができるため、トリガーポイント注射はコミュニケーションツールとしても重要な位置づけとなっています。
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トリガーポイントについての基礎的な理解から一般的な治療方法まで幅広い情報を掲載しています。初めて学習される方からご専門の先生まで、是非ご一読いただけますと幸いです。
すぎはら整形外科 杉原 泰洋 先生の手技動画集です。
トリガーポイント注射の対象となる筋肉は非常に多く存在します。治療頻度が特に高い部位、筋肉について解説しています。
トリガーポイント注射に使われる薬液について解説し、トリガーポイント注射の作用機序を説明します。
トリガーポイントに関連するセミナー・講演会の情報を掲載しています。