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梨状筋とトリガーポイント

梨状筋のトリガーポイントは、腰痛・臀部痛の原因として極めて重要です。
本記事では、梨状筋のトリガーポイントについて、詳しく解説します。
梨状筋のトリガーポイントについて興味のある方は是非ご覧ください。

梨状筋に過負荷がかかったり酷使されたりすることで、トリガーポイントが発生します。梨状筋のトリガーポイントは、後述する梨状筋症候群の原因になります。梨状筋のトリガーポイントは、 大腿後面にも痛みを発生させることがあります。

梨状筋の基礎知識

梨状筋は、股関節の深部(大殿筋、中殿筋の下)にあり、股関節を外旋させる深層外旋六筋の中で主力になる筋肉です。梨状筋のさらに深部には、上双子筋があり、梨状筋と上双子筋の間を坐骨神経が通ります。梨状筋内を坐骨神経が通っているケース、梨状筋を挟むように坐骨神経が通っているケースも稀にあります。梨状筋は小さい筋肉ですが、狭いスペースに位置しているため、慢性的な短縮・拘縮が起こると周辺の神経(特に坐骨神経)や血管に対して容易に悪影響を与えます。

梨状筋の基礎知識

神経支配

梨状筋は、仙骨神経叢(L5、S1~2)の神経支配をうけます。 仙骨神経叢は脊柱管のL4~5、S1~4の左右から伸び坐骨神経を形成します。坐骨神経は、大腿の遠位部にて、総腓骨神経と頚骨神経に分かれる神経です。

解剖

  • 【起始部】仙骨の骨盤面(S3~4の骨盤仙骨孔の外側および間)
  • 【停止部】大転子の先端腹側表面

梨状筋は、仙骨から大腿方向にほぼ水平(少し下がる程度)に走行しています。

働き

梨状筋の主な働きは、股関節における大腿の外旋です。腰の位置で大腿を60~90度屈曲させると、梨状筋は内旋筋および外転筋として働きます。

梨状筋のトリガーポイント

梨状筋は、仙骨と腸骨の接点と大転子を結ぶ線上にあります。トリガーポイントは、梨状筋の筋腹からやや外側と正中側に見つかることが多いとされています。

トリガーポイントの位置と関連痛領域

梨状筋のトリガーポイントの位置と関連痛領域を下図に示します。患者が訴える関連痛領域から、原因となるトリガーポイントを探索することで、的確な治療につながることが考えられます。 梨状筋のトリガーポイントからは、仙骨周辺、臀部全体、大腿後面の大部分に関連痛が放散します。梨状筋にトリガーポイントができるなどして、慢性的に梨状筋が収縮・拘縮した状態になると、周辺の血管・神経(特に坐骨神経)を絞扼することがあります。これがトリガーポイントに起因する梨状筋症候群の原因になります。

トリガーポイントの位置と関連痛領域
  • ①のトリガーポイントは、梨状筋を3等分したときの外側(大転子側)1/3くらいのところにあります。
    • 関連痛は、臀部の外側から大腿後面にかけて放散します。
  • ②のトリガーポイントは、起始部付近に見つかります。
    • 関連痛は、仙骨周辺、臀部全体、大腿後面にかけて放散します。

トリガーポイントの原因

梨状筋は急性・慢性の両方のストレスを受けやすい筋肉です。小殿筋にトリガーポイントができる急性的な原因として、中殿筋や小殿筋と同様に、急激な過負荷が挙げられ、慢性的な原因としては日常生活様式が挙げられます。

急性的な原因

梨状筋は大きさの割に、過剰な負荷が突如としてかかりやすい筋肉で、損傷しやすいといえます。

  • 急に重いものを持ち上げたり、下ろしたりする。
  • 転倒しそうになった時、とっさに態勢を立て直す。
  • 事故などによる急激な衝撃
    • 身体の目に見える部分が無事でも、深部にダメージが入ることはよくあります。わかりやすい例では、むち打ち症が有名ですが、梨状筋でも同様の現象が起きることがあります。

慢性的な原因

梨状筋は、股関節の動きにおいて重要な役割を担うため、逆に股関節を動かさない状態が長く続くと、悪影響があります。現代社会は座位が中心です。座位により股関節は動かされる機を失います。

  • 長時間にわたり梨状筋が収縮するとき
    • 自動車を長時間にわたり運転すると、アクセル操作とブレーキ操作を行う右足において、長時間にわたり梨状筋は収縮することになり、トリガーポイントの原因になります。
  • 運動不足
    • 身体を動かさない生活は、梨状筋に対して急激な負担をかけないまでも、動かさないというストレスが蓄積され、トリガーポイントの原因になります。関節可動域は全域で動かすことにより、付着する筋肉のストレスを解消することができます。
  • 仙腸関節捻挫、股関節の関節炎
    • 梨状筋の付着部周辺の関節に障害が発生すると、梨状筋に悪影響を与え、トリガーポイントが発生します。

トリガーポイントによる症状

梨状筋のトリガーポイントにより、座位の際に静止できなかったり、股関節において大腿部が外旋することで足が外反したり、内旋が制限されたりします。

慢性化すると、仙腸関節障害を引き起こすことがあります。

梨状筋にトリガーポイントができると、梨状筋が短縮して坐骨神経を圧迫し、梨状筋症候群と診断されることがあります。一方で、梨状筋にトリガーポイントがあっても坐骨神経を圧迫しておらず、本来なら梨状筋症候群ではないけれど、梨状筋症候群のような症状をきたすこともよくあります。

いずれの場合でも、梨状筋のトリガーポイントを消失させるための治療(トリガーポイント注射)を施行することになります。

梨状筋のトリガーポイントと関連する内臓

  • 消化器系(直腸、S状結腸)
  • 生殖器系(子宮、卵巣、前立腺)
  • 循環器系(心臓など)
  • 膀胱

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