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トリガーポイントとは

トリガーポイントは体表上の圧痛を伴う筋肉のしこり(硬結)です。
肩こり、腰痛や膝痛の原因となります。
本項では、トリガーポイントの歴史、特徴、更にはトリガーポイントが原因となる
筋・筋膜疼痛症候群に伴う多岐に渡る症状について解説します。

トリガーポイントとは

トリガーポイントは、機械刺激に対する感受性が高まっている過敏点です。トリガーポイントが存在すると、その部位のみならず、身体の他の部位にも様々な症状を引き起こします。トリガーポイントは、筋や筋膜に好発しますが、骨膜、靭帯・腱、皮膚や瘢痕部など、全身の様々な軟部組織に存在することが知られています。

トリガーポイントの歴史

1500年代
 Guillaume de Baillousが筋痛疾患に関して報告
1816年
 Balfourが痛みを伴う筋肉内の硬結に関して報告
1843年
 Froriepがリウマチ患者の筋肉内にある硬結(過敏点)について報告
1904年
 Gowersが硬結を作り出す結合組織炎について報告
1921年
 Schadeが筋硬症という名称で筋硬結を報告
1938年
 Kellgrenが筋肉に起因する関連痛を報告
1942年
 Travellがトリガーポイント(trigger points)という言葉を使用
1983年
 TravellとSimonsがトリガーポイントを書籍にまとめ体系化

トリガーポイントの特徴

臨床上の治療標的としては、筋や筋膜に発生したトリガーポイントが重要となることが多く、
この筋・筋膜性トリガーポイントの臨床上の特徴をまとめると次のようになります。

・ロープ状のしこり(索状硬結)を触れる。
・索状硬結の上に圧痛部位が存在する。
・トリガーポイントに特有の関連痛がある。
・筋力低下や可動域の制限がある。
・刺激により、次の反応が得られる。
  - 痛みの再現。
  - 自律神経反応(立毛、発汗など)。
  - 局所単収縮反応。
  - 逃避反応。

このように、トリガーポイントでは、知覚神経、運動神経および自律神経の異常が複雑に絡み合った病態を呈しますが、日常診療では、これら全てを確認できることはあまりないため、まず、索状硬結の存在と刺激による症状(痛み)の再現を確認することが重要であると考えられます。

トリガーポイントと筋・筋膜性疼痛症候群について

トリガーポイントに起因し、筋・筋膜の痛みを主訴とする一連の症状を筋・筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome:MPS)といいます。MPSは、トリガーポイントが原因となる最も重要な疾患です。

Simonsによると、MPSは、5の大基準と3の小基準から診断されます。

大基準

  1. 局所的な痛みの訴えがある
  2. トリガーポイントからの関連痛として予想される領域での痛み又は違和感がある
  3. 触知できる筋では索状硬結がある
  4. 索状硬結に沿った一点における強烈な圧痛点がある
  5. 可動域のある程度の制限がある(測定可能な時)

小基準

  1. 圧痛点の圧迫による臨床症状や違和感の再現がある
  2. 索状硬結にある圧痛点を横断的に指で弾く触診や針の刺入によって局所単収縮反応の誘発がある
  3. 筋肉の伸張(ストレッチ)や圧痛点への注射によって痛みが緩和される

*診断には、5の大基準全てと、3の小基準のうち少なくとも一つを満たすことが必要。

これらの症状は、まさにトリガーポイントの特徴を示しており、MPSの治療においてはトリガーポイントへの対処が重要であるといえます。

MPSは肩こり、腰痛および膝痛などのような筋骨格系の疼痛疾患の原因となることに加え、神経根障害、椎間板障害、顎関節症、緊張型頭痛、手根管症候群、むち打ち症、過敏性腸症候群、帯状疱疹後神経痛、線維筋痛症および複合性局所疼痛症候群など、多くの疾患に併発することが知られています。トリガーポイントに対処することで、MPSが治療され、これらの疾患に良い影響を与えることも少なくないでしょう。

トリガーポイントに起因する症状

トリガーポイントが原因となる症状は極めて多岐に渡ります。治療をしても治らない次に示すような症状があれば、トリガーポイントの存在を疑ってみても良いかもしれません。

  • 痛み
  • 痺れ
  • 姿勢の悪化
  • 不整脈
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 尿失禁、夜尿症
  • 眼瞼下垂
  • 眼の充血
  • 涙液の過剰分泌
  • 唾液の過剰分泌
  • 鼻汁の過剰分泌
  • 睡眠障害
  • 慢性疲労
  • 視覚障害(眼のかすみ、複視)
  • 発語障害
  • 記憶障害
  • 聴覚障害
  • 筆記障害
  • 多動性障害
  • 方向感覚の異常
  • 抑うつ症状
  • めまい
  • むくみ
  • 鳥肌

など。

References

  1. Shah JP., Thaker N., Heimur J., Aredo JV., Sikdar S., Gerber L. (2015) Myofascial Trigger Points Then and Now: A Historical and Scientific Perspective. PM R, 7(7), 746-761.
  2. Simons DG., Travell JG., Simons LS. : Travell & Simons’ Myofascial pain and dysfunction, The trigger point manual. 2nd edition. USA, Williams & Wilkins, 1999

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