三角筋とトリガーポイント
三角筋のトリガーポイントは、肩こりの原因として極めて重要です。
本記事では、三角筋のトリガーポイントについて、詳しく解説します。
三角筋のトリガーポイントについて興味のある方は是非ご覧ください。
三角筋の基礎知識
三角筋は、三角の形状で、肩関節を前後および外側から覆う分厚い筋肉です。部位により、前部、中部、後部の三つに区別されることがあり、三角筋群と呼ばれることがあります。 三角筋の中部線維は外転運動に有利な多羽状筋です。
神経支配
三角筋は腋窩神経(C5~C6)の神経支配を受けます。腋窩神経は、腕神経叢から上腕部へ走行します。小円筋も腋窩神経による神経支配をうけるため、三角筋に問題が起こると小円筋にも影響を及ぼす可能性があります。
解剖
- 【起始部】 鎖骨(外側1/3)、肩峰、肩甲棘
- 【停止部】上腕骨三角筋粗面
三角筋の停止部は一か所なので、筋線維が集中して付着します。
働き
三角筋は、棘上筋と協同し、上腕をあらゆる方向に動かす(外転、内旋、水平屈曲)役割を担っています。ボールを投げる際には、主たる役割を担います。また、 この筋肉により、肩の丸みが形成されます。
三角筋のトリガーポイント
三角筋のトリガーポイントがまず第一に形成されることはなく、斜角筋や大胸筋、棘上筋をはじめとする回旋筋腱板(rotator cuff)にトリガーポイントができた結果(サテライトトリガーポイント)として形成されます。肩の痛みの原因とされることも少ない筋肉ですので、三角筋のトリガーポイントを探すのは治療の最後の方でも良いかもしれません。
トリガーポイントの位置と関連痛領域
三角筋のトリガーポイントの位置と関連痛領域を下図に示します。訴えのある関連痛領域から、原因となるトリガーポイントを探索することで、的確な治療につながることが考えられます。三角筋のトリガーポイントからの痛みは、トリガーポイント付近に限局します。
- トリガーポイントは、三角筋の前部と中部にやや多くありますが、三角筋全体的に認められます。
- 関連痛領域は、トリガーポイントの箇所に限定されることが多く、一部、上腕に放散します。
トリガーポイントの原因
棘上筋のトリガーポイントができた結果、サテライトトリガーポイントとして三角筋にもトリガーポイントができることがよくあります。直接的な原因としては、急性・慢性ともに考えられる原因は存在します。
急性的な原因
- 肩関節を屈曲させる運動
肩を使う運動は、非常にたくさんありますが、慣れない動作を急にやることがよくありません。
水泳、野球、ハンドボール、特殊な例ではウェイトリフティングなどです。 - 重いものを持ち上げる、肩に担ぐ
- 背伸び
背伸び動作は肩こり体操の定番です。しかし、三角筋には負担がかかることがあります。したがって、急激な動きをするのではなく、じっくりじんわりと身体を動かすことが重要です。 - 直接的な外傷
自動車事故は分かりやすい例です。
また、2019年に盛り上がりを見せたラグビーでも痛めやすいことが知られています。
慢性的な原因
- 棘上筋のトリガーポイント
棘上筋にトリガーポイントができた状態を放っておくと、三角筋にもトリガーポイントができます。
したがって、三角筋にトリガーポイントがあるなら、棘上筋を確認することが重要です。 - 棘上筋のトリガーポイントについて詳しく知りたい方は、「棘上筋とトリガーポイント」を参照してください。
トリガーポイントによる症状
三角筋のトリガーポイントが引き起こす症状は、主に痛みです。しかも、トリガーポイントがある位置の周辺に痛みは限局することが多いので、三角筋は治療を受けやすい筋肉であると言えます。三角筋にトリガーポイントができると、肩の動きが悪くなるため、特に上腕の挙上能力に影響を及ぼすことがあります。
三角筋のトリガーポイントと関連する内臓
- 頸部(C4~7)の椎間板
頸部の椎間板ヘルニアがあると、三角筋にトリガーポイントが生じることがあります。 - 心臓