小胸筋とトリガーポイント
小胸筋のトリガーポイントは、肩こりの原因として極めて重要です。
本記事では、小胸筋のトリガーポイントについて、詳しく解説します。
小胸筋のトリガーポイントについて興味のある方は是非ご覧ください。
小胸筋の基礎知識
小胸筋は、大胸筋の深部に位置し、完全に隠れています。したがって、小胸筋は直接触れるというよりは、大胸筋を通して感じることになる筋肉です。
神経支配
小胸筋は、 外側胸筋神経(C6~C7)と内側胸筋神経(C8)の神経支配を受けます。 外側胸筋神経、内側胸筋神経ともに腕神経叢から出る神経で、大胸筋と小胸筋を神経支配します。したがって、大胸筋が悪くなると小胸筋にも悪影響があり、小胸筋が悪くなると大胸筋にも悪影響があります。
解剖
- 【起始部】第3~5肋骨
- 【停止部】肩甲骨の烏口突起(内側面)
小胸筋の停止部は烏口突起の一か所ですが、起始部は3か所(もしくはそれ以上)に分枝しています。
働き
小胸筋は、肩甲骨を下方へ引っ張ります。また、小胸筋は、胸肋関節と肋骨脊椎関節にて、第3~5肋骨を挙上するため、肩甲骨が固定されている状態では吸気筋としても働きます。
小胸筋のトリガーポイント
小胸筋は大胸筋の深部にあり、トリガーポイントによる症状も大胸筋に似ています。したがって、大胸筋と小胸筋は分け隔てなく治療されることが多い筋肉です。
トリガーポイントの位置と関連痛領域
小胸筋のトリガーポイントの位置と関連痛領域を下図に示します。訴えのある関連痛領域から、原因となるトリガーポイントを探索することで、的確な治療につながることが考えられます。小胸筋のトリガーポイントからの痛みは、大胸筋の鎖骨部にできるトリガーポイントとほとんど同じです。
- ①のトリガーポイントは、烏口突起に付く腱から筋への移行部付近にあります。
- ②のトリガーポイントは、小胸筋の第4肋骨起始部付近にあります。
- 関連痛領域は、主には肩の前面を中心に放散します。胸部や腕の内側に広がり、指先にまで到達することもあります。
トリガーポイントの原因
小胸筋のトリガーポイントは急性・慢性の両方のストレスにより発生しますが、主に慢性的なストレスの影響を受けます。
急性的な原因
- 重いリュックサックを背負う
慢性的な原因
- 大胸筋や斜角筋のトリガーポイント
大胸筋や斜角筋にトリガーポイントができた状態で放っておくと、小胸筋にもトリガーポイントができます。
斜角筋のトリガーポイントについて詳しく知りたい方は、「斜角筋とトリガーポイント」を参照してください。 - 悪い姿勢
肩や背中を丸めた姿勢は、小胸筋を短縮させることになるので、トリガーポイントができる原因となります。 - ギプスの使用
腕を骨折して、首から吊り下げられたギプス固定が続くと、小胸筋にトリガーポイントができます。ギプスを外しても腕に痛みが続く場合、それは骨折による痛みではなく、小胸筋のトリガーポイントから放散する関連痛の可能性があります。 - 心筋梗塞
トリガーポイントによる症状
小胸筋はトリガーポイントによって緊張し、腋窩動脈や上腕神経が圧迫される小胸筋症候群を引き起こします。ひどくなると、腕への血流が制限され、脈が出なくなることもあります。斜角筋のトリガーポイントにより手指の浮腫が現れることもあり、小胸筋のトリガーポイントとともに治療すると良いことがあります。
小胸筋のトリガーポイントと関連する内臓
- 心臓
狭心症や心筋梗塞の患者は小胸筋にトリガーポイントができやすくなります。